シャボテン公園の競売問題と経営権の争いの経緯

本日2016年5月13日、シャボテンリゾート株式会社(6819)が、16年3月期決算を発表し、赤字の予想から一転、黒字の報告をしました。

現在、一株80円と株価が安いため、投資対象として魅力的に映るかと思います。

しかし、ときどきIRされている競売に関する問題が、どうしても気になります。

その問題をネットで調べたのでザックリと整理してみました。

断片的な情報をつなぎ合わせているので、間違っていたり、抜けている部分もあるかもしれません。

あくまでも投資の参考なので、事実関係のみをまとめ、背景事情については割愛しています。

シャボテンリゾート株式会社とは

シャボテンリゾート株式会社は、以前の社名をソーシャルエコロジープロジェクトといい、その前身の会社は、オメガプロジェクトホールディングスといいます。

この会社は、2006年6月に、サボテンパークアンドリゾート(SPR社)を子会社化してレジャー事業に本格進出しました。

SPR社は、現在は株式会社伊豆シャボテン公園:ISPに名前を変えています。

レジャー事業は、黒字を生み出しており、シャボテンリゾート株式会社の中核事業となっています。

争いの発端

まず、その中核事業となっている、伊豆シャボテン公園と伊豆ぐらんぱる公園の敷地ですが、そもそもは全部、ICPという会社の所有でした。

そして、その土地・建物には、ICP社の親会社「EIEインターナショナル」が、旧日本長期信用銀行(長銀)などから融資を受けた際、 極度額計150億円の根抵当権が設定されていました。

1998年の長銀破綻後、複数の会社に債権が譲渡され、 最終的に、2008年4月、新宿区の土地開発会社「ケプラム」が根抵当権者になりました。

SPR社(現ISP社)は、オメガプロジェクトホールディングスの子会社になる直前の2006年3月9日に、株式会社 ICPより、両公園等の土地・建物である対象不動産を取得しました。

SPR社(現ISP社)が土地と建物をICP社から取得する時、根抵当権が抹消されていることが買収の条件だったようです。

しかし、実際には抹消登記はされていませんでした。

参考:『2016. 5.12当社子会社における和解内容に関する新たな合意に関するお知らせ』http://www.izu-sr.co.jp/ir/2016/16-5-12.pdf

競売の申し立て

2012年、「ケプラム」が根抵当権に基づいて、『30億円の債権がある』と主張し、競売を申し立てました。

登記簿などによると、競売開始決定を受けたのは、 同園の敷地約10万1000平方メートルと、事務所の建物約312平方メートルなどが対象のようです。

一説では、うまく売れば20億円にもなると言われています。

なお、対象不動産が第三者の手に渡ると、対象不動産の上に建設されている建物等が撤去させられて公園事業ができなくなるリスク、雇用や取引の継続ができなくなるリスク、伊豆半島の地域経済に対するリスクがありました。

訴訟で対抗するも

これに対して ISP 社は、静岡地方裁判所に『根抵当権については消滅時効が成立している』などの主張をして、根抵当権設定登記の抹消登記に関する訴えを起しました。

しかし、2012年6月に、静岡地裁沼津支部は、ケプラムの申し立てを認めて、競売開始の決定をしてしまいました。

抹消登記に関する訴訟は終了までに時間がかかるため、先に競売の実行・完了を迎えてしまう可能性が大きくなりました。

経営権の争奪戦

一方で、ソーシャルエコロジープロジェクトは、経営権の争奪戦も繰り広げています。

経営権争奪を仕掛けていたのは、レジャー施設の運営とはまったく縁がない大株主である東拓観光とロイヤル観光の2社、および個人株主とのことです。

経営側と株主側は、ともに熾烈な多数派工作を行ってきました。

しかし、あるとき、経営側は奇策に打って出ました。2014年5月14日にコンサルタント会社と2個人に第三者割当増資を実施し、議決権を与えたのです。

これに対し、株主側は増資差し止めの仮処分を東京地方裁判所に申し立てたが却下されました。

他方で、経営側は、筆頭株主の東拓観光とロイヤル観光を被告として、東京地裁に議決権行使禁止の仮処分を申し立てましたが、この訴えは「申し立てに理由がない」として却下されました。

その後の株主総会では、株主側は「議長不信任と新議長選任」の緊急動議を提出し、それが可決され、株主側から新議長が出されたそうです。

さらに、会社側からは取締役選任の議案が出され、敵対する株主側からは取締役選任の修正議案が出されたそうです。

しかし、どちらの案も過半数に達せず、議長が流会を宣言して総会は終了したそうです。

このとき、株主側の新議長は、総会において、総会直前の6月20日に議決権を得た株主のうちの1人の事前の議決権行使を、表決に加えない措置をしたそうです。

ところが、会社側が6月27日に東京証券取引所に提出した「臨時報告書」によると、会社原案の取締役5人が選任されたことになっていました。

会社側は、総会直前の6月20日に議決権を得た株主のうちの1人が、会社提案に賛成して取締役選任議案が可決されたことにしていたのです。

さらに、7月10日、会社側は東京地裁に訴えて、会社提案原案が否決されたという決議は存在しないことの確認、会社原案提案が可決されたことの確認および取締役候補者が取締役の地位にあることの確認を求めました。

それに対抗し、株主側も、株主総会の決議は不成立と主張して、裁判所に訴えを起こしました。

さらに、株主側は、11月29日に、大株主の主導のもと、臨時株主総会を開催させました。

臨時株主総会の結果、前経営陣は解任され、東拓観光側の推す取締役6人が選任されました。

和解勧告

ここで、2015年5月28日に、裁判所より、地域経済に与える影響も考慮して、双方に対して和解の勧告がありました。

それを受け、ISP 社とソーシャルエコロジープロジェクト(現シャボテンリゾート株式会社)は、和解に向けケプラム社と協議を続けることとなったのです。

何度か、合意に関するIRがでていますが、この問題は、未だ最終決着をみていません。

なお、2016年8月8日のIRで、伊豆ぐらんぱる公園を含む土地・建物を対象不動産とした競売開始が決定しました。

予定では、ケプラムが自己競売により土地・建物の所有権を取得し、シャボテンリゾートと賃貸契約を結ぶようです。

以上、ネットで手に入る情報をまとめてみた結果ですので、参考程度にしてもらえるとよいかと思います。